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スコルピオス×レオンティウス。
告白の話。
短めです。










 最初の日のことを思い出した。
確か嵐の夜だったと思う。
雨音と風音、嵐女神が怒ったのだとまことしやかに囁く会話を耳にした。
そんな夜に、思いがけなく、そして望まぬ形で思いは実り。
そしてそのまま、流されるように――
 
 
 眼を開けた場所が何処だか、一瞬理解出来なかった。
しかし、視界の端に映る赤色が、記憶を呼び戻す。
裸の上半身を起こして、レオンティウスはゆっくりと息を吐き出した。
倦怠感と鈍痛に眉を顰めながら、暫くそのままじっとしていた。
普段兄の部屋で眠ってしまうことなど無いのだけれど、今日は気絶してしまった自分をそのまま寝かせていてくれたようだ。
その上傍らで眠る兄など、本当に初めて見た。珍しいにも程がある。
ついまじまじと観察する。
編み癖が微かについた髪は、ゆるく波打って枕に広がっていた。
何本か灯したままだった蝋燭に照らされて、焔そのもののように赤い。
こちらに向いた裸の背の、肩甲骨の下の辺りには微かに爪の痕がついていて、急に恥ずかしさがこみ上げてきて眼を背けた。
 ざあざあと、雨の音がする。眠る前はあまり降っていなかったけれど、今は土砂降りのようだ。風も強いらしく、窓が時折がたがたと鳴った。
あぁ、だから思い出したのか、と一人納得する。あの日と同じような嵐の晩だから。
――兄と繋がれる事自体は嬉しい。嬉しくて堪らない。例え兄が自分を本当に愛している訳でなくても良いと思ってしまう程。
元々は体だけを奪われるような形で始まってしまった関係であっても、今となっては、多少歪んでいるとは思いながらも、自分は歓びを感じている。
だけれど。
何か、何かが足りない気がする。
常々感じ続けていた。この関係には、何かが足りないのだ。
何だろう。

 考え込んでいると、ふと視線を感じた。
先ほどまで眠り込んでいた筈のスコルピオスが、半分振り向いた目で肩越しに此方を見ていた。
寝ぼけた雰囲気など微塵も見せずに、鋭い赤い眼は此方を射抜いていた。
「――起こしてしまいましたか」
すみません、と小さく謝ると、スコルピオスは応えずに体ごと此方を向いた。
それから、ぐいと腕を取られて、力ずくで引き寄せられる。
唇には触れないまま通り過ぎた兄の唇が、首筋の赤い痕をなぞっていく。
兄はあまり唇同士の接吻を行わない。
嫌っているわけでは無いようだが、それよりも一方的に快感を与えるほうが彼の好みにあっているようだ。
微かに息を乱しながら見上げると、伏せた赤い眼は酷く冷たい色をして、どこか違う場所を見つめていた。
もしかしたら、もともとスコルピオスは、レオンのことを見たことも無いのかもしれない、と思う。
再び回り始めた熱で、少し苦しい。
歯が僅かに食い込んだ感触に小さな声を上げて、兄の背に腕を回そうとしてふと気づいた。
あぁ、そうか。
「兄、上」
力強い腕をそっと押さえて、体を離した。
胡乱げに見上げる眼に、微笑みかける。
「兄上、私は、ずっと言えていなかったのですが」
兄が自分を愛さなくても、それでも良いと思う。
だけれど。
「愛しています。兄上。大好きです」
馬鹿みたいな、子供のような言葉だけれど、
自分は兄を愛しているのだと伝えたかったのだ。
流されるままに時は過ぎてしまって、伝えそびれていた。

 言った途端に、ふっと安心したような、そんな気分になった。
兄がどう思おうと。
例え、愛されるどころか憎まれていようと。

 案の定というか予想通りというか、兄は表情も変えずに此方を一瞥してから、ふん、と一言詰まらなそうに呟いたきり、何も言わずにまた腕を伸ばしてきた。
今度は反対側の首に痕が付いて、再び熱をもてあましていると、ふっと浚うように唇同士が触れた。








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前にエチャのお題「告白」にあわせて書いたシロモノ。
えろい雰囲気を醸し出そうとしてあえなく撃沈…。

はずかしい(*ノノ)

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